「日本の航空100年」を記念して開催したフォトコンテスト。 全国から応募総数が461点にものぼる力作が集まりました。 航空写真家の青木勝、阿施光南両氏を審査員に迎え、入選作10作品を決定しましたので、ここに発表いたします!

審査員:青木 勝/阿施 光南


撮影データ
@使用カメラ A使用レンズ B設定ISO感度(使用フィルム) Cシャッタースピード/絞りD設定ホワイトバランス(使用フィルター) E補正方法 F撮影場所 G構図の意図や撮影時の苦労などの説明




 
【最優秀賞】(1名)
賞品:ANA国内線無料往復航空券(2名分)/月刊エアライン1年分


【最優秀賞】 津上 亮平(大阪府・58歳)


撮影データ
@Nikon D3 ANikkor AF-S 200mm F2G BISO3200 C1/100秒 f2.2 DWBオート ENikon captureNX、photoshopCS4で濃度、コントラストなど調整 F伊丹空港近辺 G満月をからめた画を求めてロケハンに。たまたまおぼろ月夜の美しい空になり、最終便までねばってものにした一枚。できるだけ月をまん丸に止めて写したかったので明るいレンズが役に立った。「うさぎさんの餅つき」が見えていたが、ニコンD3をもってしても白く飛んでしまったのが悔やまれるところ。
【選評】
・デジタルならではの作品である。明るいレンズと高ISO感度の両方を巧みに使い、フィルムでは比較的難しい夜間のアプローチシーンを、画質を荒らさず機体と月がブレないぎりぎりのシャッター速度で、アンチコリジョンライトをきっちり捉えた計算の行き届いた一作だ。満月と雲と真っ赤なライトに染まった機体のコントラストが実に美しい。作者が長い間フィルム撮影で培ってきた、ベテランならではの豊富な経験がしっかり生きている。(青木)

・伊丹では撮影環境のよさに加えて、国内線オンリーというカラーバリエーションの少なさからか、カメラマンの皆さんは次々と新しい航空写真の境地を開いておられる。とりわけデジタル一眼ならではの高感度性能を駆使した夜景の作品群はおそろしいほどで、飛行機写真にもまだいろいろな可能性があるんだなと思わせてくれる。できれば若い人にチャンスをとの下心もあったが、今回はベテランの貫祿勝ち。(阿施)

 

 
 
【優秀賞(2名)】
賞品:JAL国内線無料往復航空券(1名分)

【優秀賞】 久田 俊成(兵庫県・40歳)
【優秀賞】 梶本純一郎(京都府・51歳)


撮影データ
@Nikon D90 ANikkor AF-S 70-200mm F2.8G+Ai AF-S Teleconverter TC-20EU BISO100 C1/2000秒 f8DWBオート(フィルター:Kenko R-スノークロス) E傾き修正 F神戸空港 G空港見学者が集まってできた「壁」の後ろで、キラキラ輝く水平線からB737(JA737T)が飛び立つ様子を追いかけ、水平線のすぐ上、ブラストの様子と飛行機の照り返しがきれいだなぁ、というタイミングで撮影。運よく洋上に船はありませんでした。
【選評】
・逆光の光り輝く海をバックに、飛び立つ機のイグゾ−ストを的確に捉えているのは見事。しかもスノークロスフィルターで変化をつけているのが憎い。阪神淡路大震災の記念日に撮影したとのことだが、こんな光景を見ているとなおさら平和のありがたさを実感する。(青木)

・個人的には、少し評価に悩んだ写真である。総評で書いた「惜しい」写真のひとつといえる。微妙なトリミング、色合い、クロスフィルターの使用。自分の写真ならば、PCの前で小一時間はあれこれいじってみたかもしれない。だけど、きれいだ。(阿施)




撮影データ
@Sony α900 AHigh Speed AF APO 600mm F4G BISO200 C1/1600秒 f8(-0.7EV)DWBバランスオート ERAWデータをSONY Image Converter V3にて画質調整 F伊丹空港 Gテイクオフローリングが始まり、ランウェイに溜まった雨は2基のPW4090の噴射のもと、白煙にも似たしぶきと化した。スポットライトのように照らす低い光線が真っ暗の背景のなか、見たこともないシーンを演出してくれた。
【選評】
・気象の動きを予測し、悪天の中をスタンバイした作者の読みから生まれた作品である。滑走路に溜まった雨がイグゾーストに巻き上げられて白煙と化し、濡れた滑走路の低い光線が胴体下部に反射して滅多に見られないシーンが出現して、非凡な作品となっている。(青木)

・天気予報を見て狙ったというコンディションで、見事に光るランウェイと水しぶきを捉えた重量感のある写真だ。正面から離陸を狙った写真は他にも多数ご応募いただいたが、だからこそベテランならではの技術がきわだって見えた。(阿施)


 
 
 
■佳作(7名)
賞品:航空会社グッズ


【佳作】 大野 拓(東京都・30歳)
【佳作】 河野 美乃(熊本県・51歳)


撮影データ
@Canon EOS40D ABORG101ED+1.4倍テレコンBISO640 C1/320秒 (絞り機能なし)DWB太陽光 ECanon DPPでRAW現像後、photoshopにてレベル補正、明るさ・コントラスト補正、アンシャープマスク処理 F羽田空港周辺 Gこれまでの人生で一番興奮した1/320秒間でした。満月と飛行機の写真を狙い始めて12回目の挑戦。1機が絶妙の角度で上昇旋回し始めるや、瞬く間に満月へと吸い込まれていきました。このために買った天体望遠鏡がその最高の瞬間を切り取ってくれました。
【選評】
・絞り機能のない天体望遠鏡を駆使して撮ったことにまず驚くが、それよりもなによりも、徹底した情報収集とロケハンを12回も挑戦したというその熱意と粘りに敬意を表したい。(青木)

・満月にかかる飛行機。誰もが一度は撮ってみたいと思う写真だが、実現できた人はそう多くないはず。大野さんはまんまと、見事にモノにした。しかも消えゆくA300である。(阿施)




撮影データ
@Canon EOS40D ACanon EF300mm F2.8+1.4倍テレコン BISO200 C1/640秒 f8DWB太陽光 ECanon DPPでトーンカーブ調整 F熊本空港 Gここ数年、秋から冬にかけて毎日のように熊本空港へ通いました。狙いは「夕陽&飛行機」のコラボ、そして「ブラスト」。テイクオフする頃に思いもかけず湧き出した雲の中に夕陽が隠れてしまいましたが、到着便も入り、雲の形も面白く、お気に入りの一枚になりました。
【選評】
・雲があるおかげで一味違った絵になっている。右端の機影は後続機のようだが、その存在は実に効果的である。できることなら衝突防止灯などが写し込めたらさらによかった。(青木)

・これも誰もが撮ろうとする太陽狙いだが、幸か不幸か雲が太陽を隠してしまったことで空に表情が出た。思い切って縦位置でトリミングする手もあったかもしれない。(阿施)

【佳作】 延原 真(兵庫県・45歳)
【佳作】 奥田 道裕(茨城県・46歳)


撮影データ
@Nikon D3X ANikkor AF-S VR ED70-300mm F4.5-5.6G BISO100 C1/125秒 f13 DWBオート ENikon caputureNX2でRAW現像後、彩度、シャープネス、コントラストなどを補正 F中部空港 G「空の旅の始まり」をテーマに、旅人の感動を地上からの目線で表現しました。セントレアの雰囲気を表現しながら、ローアングルによる迫力とスピード感を出すため、背景を若干流す程度のシャッタースピードで離陸直後を狙いました。
【選評】
・「空の旅の始まり」をテーマに旅人の感動を地上からの目線で表現したという作者の言葉通り、奇をてらわない素直な表現が、飛行機写真の原点を見せられたようで好感が持てた。(青木)

・きわめて素直に、だが確実な技術で離陸する747をダイナミックに、美しく捉えた。個人的には「イチオシの気持ちよさ」だったのだが、コンテスト狙いには素直すぎたかも。(阿施)




撮影データ
@Canon EOS1D MarkV ACanon EF500mm F4L IS USM+1.4倍テレコン BISO100 C1/320秒 f8 DWBオート Eデジタルフォトプロフェッショナルでトリミング、明度、コントラスト、シャープネス、トーンカーブ調整 F香川県綾川町高山航空公園 G高松空港を望む高山航空公園。国内でこんなシーンを見られる唯一の場所だろうか? 日本航空の経営改善のため運航休止が予定されている鹿児島からのサーブ340のアプローチシーンを、めったに恵まれない好コンディションの中で超望遠を使って捉えてみた。
【選評】
・おそらくこんなシーンが狙える場所はほかにないと思う。それを探し出し、500ミリに1.4倍テレコンの超望遠で捉えた絵作りが功を奏している。作者の感動が見る者に迫ってくる。(青木)

・高山航空公園は滑走路をほぼ延長線上から見おろす国内屈指の撮影ポイントだが、距離があるため視程がよくないと写真にならない。こういう写真を見ると、行きたくなる。(阿施)

【佳作】 本村 諭史(熊本県・14歳)
【佳作】 安田 和樹(兵庫県・20歳)


撮影データ
@Canon EOS40D ACanon EF100-400mm F4.5-5.6L IS USM BISO400 C1/320秒 f5.6 DWBくもり E特になし F熊本空港 G雨が上がって、雲が低く垂れ込めた中を、水しぶきを上げながらB7が離陸していきました。
【選評】
・水煙を巻き上げながら離陸するシーンを絶妙なタイミングで捉えている。熊本空港の特徴ある風景をバックに、湧き上がった雲が舞台装置をさらに演出してくれたのも幸いしている。(青木)

・澄んで静かな空気感が気持ちのいい写真だ。あまり奇をてらわずに、きれいな、気持ちのいい風景を素直に切り取る。そんな航空写真の基本ともいうべき写真だと思う。(阿施)




撮影データ
@Canon EOS Kiss Digital ATamron AF28-300mm F3.5-6.3 BISO100 C1/640秒 f8 DWB太陽光 E‐ F伊丹空港 G撮影したのは台風が過ぎ去った翌日だったので視程のよい澄んだ綺麗な青空でした。出発コース上には彩雲が出ていて、そこをランウェイ32Lから離陸した機体が飛び込んでいきました。ファインダー越しに見ていた、この一瞬の出来事はマジックのようで、撮影後は足が震えてしまいました。
【選評】
・台風一過の彩雲の中に離陸した機体が飛び込み、このような虹色の輝きが発生して撮影後は足が震えたとのことだが、そのほんの一瞬を見逃さずに的確に捉えた作者の腕は確かだ。(青木)

・彩雲は雲の水滴に太陽光が回折して虹色に見える現象だが、翼の上の雲までが彩雲化したのは初めて見た。理屈では不思議はないが、やはりすごい。見事に捉えていると思う。(阿施)

【佳作】 田中 智央(神奈川県・19歳)


撮影データ
@Canon EOS Kiss Digital N ASigma APO170-500mm F5-6.3DG BISO100 C1/500秒 f11 DWBオート ECanon DPPで現像、微調整およびトリミング F中部空港 Gこれから始まる夏休みへの思いを満載したジャンボジェットは、大きな翼をしならせながら豪快に飛びあがった。
【選評】
・離陸後、一気に空へ駆け上がる747の最も力の入る魅力ある瞬間を、望遠レンズでアップに切り取った目は確かだ。主翼のしなりから747の重量感がしっかり伝わってくる。(青木)

・セントレアを離陸する747。晴天、順光、機首アップの構成に驚きはないが、カッチリ撮れていて好感がもてる。今回は意外にこうしたカッチリ系の写真が少なかったのだ。(阿施)




■総評

「空の旅へ誘われるような、飛行機や空港」をテーマに質が高く、美しい作品が数多く集まりました。ハイレベルな争いに青木、阿施両氏による審査も白熱。惜しくも入選を逃した作品の中にも、入選作に勝るとも劣らない力作・名作が少なからずあったこともご報告しておきたいと思います。また、入選作は航空旅行の魅力や飛行機への憧れを余すところなく伝える素晴らしい写真ばかりです。入選作をご覧になった皆さんも、ぜひ飛行機の旅を楽しみながら、各地の空港で航空写真撮影にチャレンジしていただきたいと思います。(月刊エアライン編集部)


●青木勝

日本の航空100年記念のフォトコンということで、総数461点もの応募があり、全体として作品レベルの高いものが多かった。またベテラン勢に混じって、若い女性や、中学生クラスの若者の応募が多かったのが好ましく感じられた。ただ、かつて見たことがあるような類似した作品が多いのが少し気になった。他のフォトコン入賞作品などでよく見かける、伊丹千里川の土手の上から超ワイドで人間を入れ込んだものや、最終進入や離陸正面、満開の桜なめの小さな機体などの作品が多く見られた。アマチュアならではの自由な発想や視点での作品を期待していただけに、類似作品に対する選者の目がより厳しくなるのは当然で、作品の完成度がよほど高くないと選にもれることを今後の参考にしてほしい。撮影地としては伊丹に次いで熊本空港が多かった。ここでもランウェイ正面から夕陽狙いの作品が多かった。しかし、これは伊丹や熊本周辺の人たちの撮影意欲が旺盛で、活発に写真を撮っているヒコーキファンが多いことの証でもある。応募された中に何点かフィルム撮影作品があった程度で、ほぼすべてがデジタル写真であった。デジタルカメラ技術の飛躍的な進化により、これまでフィルムでは撮影するのが困難だった暗いシーンなどが比較的容易に撮れるようになったのは大いに歓迎すべきことだが、応募作品のなかには、不適切な後処理でせっかくの作品を台無しにしてしまっている作品が複数見られた。特に下地島の海保YS-11の作品などはカラー処理さえ間違えなければ佳作以上に入賞できた作品だけに惜しまれる。



●阿施光南

いろいろと考えさせられる審査だった。とにかく「惜しい」とうなる作品が多かった。見事にシャッターチャンスを捉えているのに、あふれるほどの飛行機への愛情が感じられるのに、トリミングや色補正などPC上の後処理がまずいために台無しにしているものが少なくなかったのだ。修正写真を作れというのではない。ただフィルム時代のフィルターワークや暗室作業と同じで、こうした後処理は撮影と同じくらい重要だ。そこにもう少し力を入れてもいいのではないかと思った(逆にやりすぎて失敗していた作品もあった)。あとはカメラの性能をもっと引き出してほしい。たとえ入門機であっても、いまのデジタル一眼の性能はきわめて高い。うまくおだてれば、往年のプロ機をはるかにしのぐ写真を撮ってくれる。あとは、いかにカメラをおだてるかなのだが。




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