CONTENTS
【本書に収録した麻井宇介氏の著作】
◎『比較ワイン文化考ー教養としての酒学』
1970年代半ば、フランス、ドイツの新しいワインづくりの潮流に触れ、醸造技術者として衝撃を受けた麻井氏が、
ワインを比較文化の視点でとらえた初期の代表作。洞察の深さに圧倒される名著です。(原書刊行:1981年)
◎『ワインづくりの四季ー勝沼ブドウ郷通信』
欧州系品種を垣根栽培する「城の平試験農場」の1年7カ月(1989年1月〜1990年11月)を実況しながら、
内容は栽培の技法やワインづくり、農業の現実にまで広範囲に及びます。勝沼という産地の姿がリアルに伝わってきます。(原書刊行:1992年)
◎『ワインづくりの思想ー銘醸地神話を超えて』
比較ワイン文化考と対を成す晩年の代表作。NZの「プロヴィダンス」に出会った麻井氏は、
銘醸地は運命的に決まっているものではなく、人間がつくり出すものだと確信を得ます。
ワインづくりの思想を伝えるために書かれた本書を貫くのは、次世代を担う人に向けた「志を高く持て」という熱いエール。
そのエールは今も輝きを失わず、人生をワインに捧げた麻井氏の凄みが伝わってきます。(原書発刊:2001年)
◎『対論集 「酒」をどう見るか』
酒文化にも造詣の深い文化人類学者、石毛直道、吉田集而、高田公理の3氏をゲストに迎え、20世紀の「酒の状況」と「飲酒の情景」について語り合います。
麻井氏の声を近くで聞いているように読んで頂けます。(原書発刊:2001年)
【麻井宇介氏についての独自原稿】
◎カラー口絵
ウイスキーをつくっていた頃の麻井氏、勝沼ワイナリーでの麻井氏、シュヴァリエ・ド・タートヴァンの叙任の際のご家族とのカット、
海外の産地で熱心に写真を撮る麻井氏、プロヴィダンスで仕込みの作業をする麻井氏。さまざまなシーンの麻井氏の写真で8ページのグラビアを構成しています。
◎「〈酒造技術者〉浅井昭吾と〈著述家〉麻井宇介の足跡と業績」
酒造技術者としての浅井昭吾氏、そして著述家としての麻井宇介氏の業績を、ワインジャーナリストの佐藤吉司氏が書き下ろしました。
よく知られていることから、一般には知られていないけれど知っておくべき重要なことまで、緻密な視点と分析でわかりやすくまとめてあります。
(年表「酒造技術者・浅井昭吾/著述家・麻井宇介の足跡」つき)
◎「父の思い出」
麻井宇介氏のご長女・菊池香織氏にご寄稿頂きました。家族から見た麻井氏はどんな方だったのか?
著作からは伺い知ることができない麻井氏のプライベートな素顔が伝わってきます。
【映画「ウスケボーイズ」で麻井宇介氏の注目度が急上昇!】
「ウスケボーイズ」監督の柿崎ゆうじ氏からも、本書は熱烈なご推薦を頂いています。
日本ワインの醸造や栽培に参入する人が急増している今こそ、過去を知り、
未来へのビジョンを持つために、若い方々に〈麻井宇介〉を読んで頂きたい。
以前読んだことがあっても、経験値や知識によって読み方が変わり、そのつど新たな発見があるはずです。
じっくり読めば、今のご自分にとっての「麻井語録」が心に刻まれるはずです。