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本当は明るいコメ農業の未来
    
本当は明るいコメ農業の未来
ISBNコード:978-4-8022-0214-5
刊行種別:書籍
発売日:2016年06月17日
サイズ:四六判
ページ数:250
定価:1650円(税込)
在庫状況:.

知らぬ間にアメリカ米に占領される日本の食卓
日本のコメを愛してやまない農業ジャーナリストが
いま、あえて糾弾する身勝手農政


米価は低迷、コメの消費量が減退し、胃袋と口の数(人口)も減っていく日本。
一見して「コメ農業には将来がない」ように思えるが、実際はまるで逆だ。

コメづくりに携わる農家は全体の6割を占めるが、その多くは零細の兼業農家。近年、この兼業農家の減少が勢いを増し、農地が中?大規模の稲作農業者・農業法人に集積されつつある。5年以内に必ず起きる「大量離農」を機に、コメ農業はようやく「プロの時代」への一歩を踏み出す。

とっくにプロのコメ生産者として経営を拡大し、大量離農に備える農業者や、流通や販売の大改革でそれを支える企業や業者は国内外に少なくない。彼らは、合理化・効率化で生産費を下げて競争力のあるコメづくりをおこない、創意工夫と技術革新で「規模の経済の限界」を超え、グローバルな視点で世界の日本米需要に応え、消費者の嗜好に合わせた多彩なコメ商品を展開している。「新コメ農業時代」の幕開けに先駆けるそうした事業者たちの活動を、専門紙誌でコメの生産・流通・販売の現場を取材してきた著者がくわしく紹介。そこには、たしかに将来性と希望のあるコメ農業の姿が浮かび上がってくる。

しかし、明るいはずのコメ農業の未来を阻む事態が、いま着々と進行している。なくなるはずの「減反政策」が逆に勢いを増し、「自由にコメをつくり、売れる時代」を約束したはずの国が、現場のコメづくりを激しく操作しようとしているのだ。
その実態をあきらかにしたのが第一章。コメをつくる生産者、流通や販売に携わる業者はもちろん、コメを食べる消費者も知っておくべき、2016年以降のコメ農業にふりかかりつつある「本当の危機」を見逃すな。
窪田新之助 著 

   

CONTENTS

第一章 未来なき農政
◎勢いを増す減反政策
業務用米の高騰で困窮する米飯業界/豊作なのに高米価のカラクリ/
民主党時代に始まった飼料用米という愚策/2015年産からの「行き過ぎ」強化策
◎国による飼料用米推進という狂乱
減反達成に動き出した千葉県/主食用品種の独自助成を倍額に/普及の対象は小規模農家/飼料用米を作るメリットあるのか?/補助金2割カットにおびえる未達成県/財務省も問題視する飼料用米政策/農林水産省の自作自演/ほぼ露見しない法律違反が横行/高米価は米国産の輸入機会を増やすため!?

 

第二章 水田農業の大転換
◎無償化する農地
◎「大量離農」が始まり、農地が大量に放出される
◎大量離農、規模拡大から戦後最大のチェンジ?がはじまる

 

第三章 限界を打破するコメづくり
◎「規模の経済」の限界を突破せよ
◎「瑞穂の国」の生産力を取り戻せ
◎広がる農地を支える人づくり
◎人手不足をカバーする自動走行

 

第四章 日本産VS海外産
◎和食の世界進出と急増する日本米需要
◎タイ市場の7割奪取を目論む新参者

 

第五章 世界基準のコメ
◎グローバルGAPで世界を目指すフランチャイズ集団
◎GAPで揺れる五輪の食材調達

 

第六章 世界が求める酒造好適米
◎高級日本酒の世界的需要増がコメづくりを変える
◎産学連携でオリジナル酒米育成
◎良いコメづくりと酒造りで世界へ躍進する

 

第七章 長粒米はブルーオーシャン
◎新潟の農業法人が独占栽培・販売する長粒米「インディカ」
◎長粒米の新品種で業界の閉塞感を打破する

 

第八章 【提言】減反廃止のロードマップ
ビジョンを示さず、言葉と行動がちぐはぐな安倍政権/業界リーダーたちが描く「減反廃止後」
インタビュー@ 秋田県大潟村の黒瀬農舎・黒瀬 正氏
農家の自立を奪った減反は即刻廃止し、変われない農水省と農協は解体すべし
インタビューA 米卸の鰍゙らせ代表・村瀬慶太郎氏
減反廃止を好機にコメに対する本当のニーズに応える業界へ
インタビューB 東京大学大学院農学生命科学科教授・本間正義氏
すべての階層の農家が経営発展のモチベーションを持てる仕組みをつくれ

 

(著者プロフィール)
窪田新之助(くぼた・しんのすけ)
2004 年 明治大学文学部卒業、鞄本農業新聞入社。外勤記者として8 年間、国内外で農政や農業生産、農村社会の現場取材に年間100日以上従事する。2012年よりフリーの農業ジャーナリストとして農業専門媒体などで活動。2014 年、米国国務省のインターナショナル・ビジター・リーダーシップ・プログラム(I VLP)の招待でカリフォルニア州などの農業現場を取材。
著書に『GDP4%の農業は自動車産業を超える』(講談社+α新書、2015)